こちらの記事では、
精油の抽出「部位」と「方法」
について、具体的にお伝えしていきます。
精油の抽出部位
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の芳香成分を抽出して作られています。
植物の芳香成分は主に、
- 油胞(ゆほう)
- 油道(ゆどう)
- 油質(ゆしつ)
- 腺毛(せんもう)
といった組織に蓄えられているのですが、蓄えられいる場所は植物によって違います。
芳香成分って、植物によって部位が違うんですね〜。
そうなんです!そのため、植物によって抽出方法も違ってくるんですよ。
芳香成分を蓄えている部位は主に、
- 果皮(かひ)
- 葉
- 花
- 根
これらの部位にあり、約1〜3%ほどの芳香成分が含まれています。
そして、この芳香成分だけを抽出したものが精油となるのです。
精油別の抽出部位
精油別の抽出部位をご紹介します。
果皮
主に「果皮」から抽出される精油は以下の通りです。
- オレンジ
- グレープフルーツ
- ベルガモット
- マンダリン
- レモン
- ライム
葉
主に「葉」から抽出される精油は以下の通りです。
- ウィンターグリーン
- パチュリー
- ユーカリ
- レモングラス
- ゲットウ
- クロモジ
- スギ
- トドマツ
- ハッカ
- ホウショウ
- ニオイコブシ
- モミ
- ニアウリ
- ラヴィンツァラ
花
主に「花」から抽出される精油は以下の通りです。
- イランイラン
- カモミール
- クローブ
- ジャスミン
- ネロリ
- ヤロウ
- ローズ
- ヘリクリサム
葉と花
主に「葉と花」から抽出される精油は以下の通りです。
- クラリセージ
- ゼラニウム
- ペパーミント
- マージョラム
- メリッサ
- ラベンダーアングスティフォリア
- ローズマリー
- タイム
- バジル
- ラバンジン
樹脂
主に「樹脂」から抽出される精油は以下の通りです。
- コパイバ
- フランキンセンス
- ベンゾイン
- ミルラ
木
主に「木」から抽出される精油は以下の通りです。
- サンダルウッド
- シダーウッド
- ローズウッド
- 青森ヒバ
- クスノキ
樹皮
主に「樹皮」から抽出される精油は以下の通りです。
- シナモン
樹果
主に「樹果」から抽出される精油は以下の通りです。
- ジュニパー
- ブラックペッパー
樹果と葉
主に「樹果と葉」から抽出される精油は以下の通りです。
- サイプレス
種子
主に「種子」から抽出される精油は以下の通りです。
- カルダモン
- コリアンダー
- キャロットシード
- ブラックペッパー
精油の抽出方法
精油の抽出方法には以下のような方法があります。
- 水蒸気蒸留法
- 圧搾法
- 油脂吸着法
- 有機溶剤抽出法
- 超臨界流体抽出法
詳しくお伝えしていきます。
1. 水蒸気蒸留法
精油の抽出方法1つ目が「水蒸気蒸留法」です。
多くの精油はこの「水蒸気蒸留法」によって抽出されています。
抽出方法としては以下の通りです。
①原料となる植物(ハーブ)を蒸留釜に入れて火を焚き、加熱します。
②熱と圧力によって芳香成分が「水蒸気」となって放出されるので、この水蒸気をパイプに集めて冷却することで水蒸気は液体となります。
③集まった液体は「精油」と「水」に分離します。
④精油と水だと精油の方が比重が軽いので、「精油」が上部に浮き、「水」が下部に溜まります。
この時、下部に溜まった水には水溶性の芳香成分があるため「芳香蒸留水(ハーブウォーター)」として利用することができます♪
装置が安価で簡単に作れるという「水蒸気蒸留法」が最も多く利用されていますが、水蒸気蒸留法はハーブを熱と水にさらすため、本来の香りや成分が失われてこの方法が適さないものもあります。
2. 圧搾法(あっさくほう)
精油の抽出方法2つ目が「圧搾法」です。
主に柑橘系の果皮を抽出する方法となっています。
抽出方法としては以下の通りです。
①果皮をおろし金のような機械に押し当てて圧搾します。
②その後、遠心法で分離して精油を得ます。
圧搾法では、加熱していないため自然のままの香りがしますが、酸化しやすいのも特徴です。
現在では柑橘系の果皮も「水蒸気蒸留法」で抽出されるものもありますが、圧搾法で抽出した精油とは「香り」や「成分」も異なってきます。
3. 冷浸法(アンフルラージュ法)
精油の抽出方法4つ目が「冷浸法(アンフルラージュ法)」です。
冷浸法とは、牛脂(ヘット)や豚脂(ラード)などの動物性の脂肪に芳香成分を吸着させる方法です。
この方法は、「水蒸気蒸留法」では含まれる芳香成分が重たすぎて抽出できない「ローズ」や「ジャスミン」などに適しています。
抽出方法としては
①木枠で囲まれたガラス板の上に、動物性油脂を塗ります。
②油脂の上に花びらを敷き詰め、芳香成分を油脂に吸着させます。
③1〜2日ごとに花びらを取り替え、芳香成分を吸収できない飽和状態になると「ポマード」と呼ばれる芳香物質を含む固まりができます。
④その後「ポマード」にエタノールを混ぜて撹拌し、香りをエタノールに移したのち蒸発させて芳香成分だけを取り出します。
これらの方法はとても手間がかかるため、現在ではあまり行われていません。
この方法で抽出された芳香成分は「アブソリュート」と呼ばれています。
4. 有機溶剤抽出法
精油の抽出方法4つ目が「有機溶剤抽出法」です。
この方法は「揮発性有機溶剤」というものを使って、芳香成分を抽出していきます。
揮発性有機溶剤ってなんですか??
揮発性有機溶剤っていうのは、大気中で気体状となる有機化合物の総称です。
精油の抽出で使うものは、石油エーテル、ヘキサン、ベンゼンなどとなります。
揮発性有機溶剤での精油の抽出は、先ほどお伝えした
「冷浸法」(アンフルラージュ法)
に替わって利用され始めました。
抽出方法としては
①ローズやジャスミン、フランキンセンスなど、「水蒸気蒸留法」では含まれる芳香成分が重たすぎて抽出できないハーブの咆哮成分に有機溶剤を加えます。
②芳香成分を含んでいる溶剤を蒸発させると「コンクリート」と言われる芳香成分を含んだ固まりが残ります。
③「コンクリート」にエタノールを加えて冷却し、不要物質を取り除き、さらにエタノールを除去したら完成です。
花から芳香成分を取り出したものを「アブソリュート」と呼び、
樹脂などから芳香成分を取り出したものを「レジノイド」と言います。
これらの方法で抽出されたものは、香りを持続させる保留剤としても使われます。
5. 超臨界流体抽出法
精油の抽出方法5つ目が「超臨界流体抽出法」です。
この方法は「超高圧の二酸化炭素」を使って、芳香成分を抽出していきます。
超臨界。。なんか凄そうな名前ですね!
この方法は近年新しく開発された抽出法の一つなのですが、「水蒸気蒸留法」よりも自然の植物の香りを抽出することができるんですよ♪身近なところだと、「カフェインレスのコーヒー」を作る時にも使われている方法です。
抽出方法としては、
①植物に100気圧の圧をかけます。
②圧をかけることで気体と液体の中間である流体状態(霧状)になります。
③その後、流体の圧力を戻すと液化ガスは気化して芳香成分だけが残り完成です。
こうして得られた芳香成分を「エキストラクト」と言います。
この方法は、有機溶剤を用いた抽出法に比べると「安全性が高い」というメリットはありますが「コストがかかる」ため、この方法で製造されている精油は多くありません。
まとめ
同じ植物でも異なる部位から抽出されると、違う精油になる場合もあります。
ぜひ参考にしてみてくださいね^^
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